なぜ今、経験経済が重要なのか?
「経験経済」という言葉を、ご存知でしょうか?経験経済とは、お客さんがお金を払いたくなるほど引き付けられる「経験」を提供することです。
スターバックスと、キャラクターメーカーにいたころの身近な経験経済について書きました。
経験(エクスペリエンス)が生みだすのは「体験」「思い出」「記憶」
「経験経済」という言葉は、キャラクターメーカーで働いていたときに教えてもらいました。もう15年程前ですが、スターバックスの「経験経済」の好例がニュースになった少し後のことです。
ある直営店店長の接客が評判で、他店に比べ売上が異常に良かったんです。他の直営店の2〜3倍だったでしょうか。他店のお客さんまで、わざわざ少し離れたこの直営店に来ていたそうです。
「店長はお客さんにとって素晴らしい『体験』を提供している。私たちも是非『経験』の価値を大事にしましょう」と皆に伝えられました。
あなたは、この店長がなぜ人気だったと思いますか?人柄がいいのは勿論です。いつもニコニコして、顔を見るだけで明るい気持ちにさせてくれます。けれど他にも、プラスαあったのです。初めてお話したときのことが、とても印象に残っています。
カリスマ店長のコミュニケーション術
評判の店長と月次会議で初めてお話ししたときのこと。
「香織ちゃん、見て。夕日がとっても綺麗・・」
と夕日を指差しながら寄り添われ、背中に手を添えられ、同性ながらドキドキしたのです。このときの光景と言葉は、鮮明に残っています。
そうです。五感に訴えかけられたから、記憶に残っているのです。
- 見る・・・窓の外の美しい夕日
- 嗅ぐ・・・会議室に漂うコーヒーの匂い
- 聞く・・・落ち着いた心地良いトーンの声
- 触れる・・寄り添い
ちょっと意識すれば、できなくもない気がします。もしも美しい女性なら夕日がなくても大丈夫、かもしれません。キャラクターにもよると思いますが・・
さらに、初対面なのにもう長年一緒に過ごしたような親密感。今もはっきりと記憶しているので、まさに経験(エクスペリエンス)です。経験とはつまり
「体験」「思い出」「記憶」です。
スターバックスの経験経済とは?
マーケティングを学んでいるとよく例に出されるのがスターバックスです。
スターバックスはコーヒーを売っているのではない。コーヒーを提供しながらスターバックス体験を売ってるのだ
スターバックスはサード・プレイスという価値を提供してます。 自宅や職場・学校ではない、くつろぐことができる第三の場所を提供している、ということです。スターバックスは、まさに五感に訴えかける体験を提供しています。
- 見る・・・店舗内は落ち着いた配色でリラックスできる。
- 嗅ぐ・・・コーヒーの香りを楽しんでもらうため店内禁煙。
- 聞く・・・エスプレッソ・マシーンの音を楽しめる。
- 味わう・・コーヒースペシャリストによって選び抜かれた豆。
- 触れる・・体に触れるインテリアはシアトルの本社で揃えたもの。
じゃあ、コーヒーの価格、エクスペリエンス(経験)とは一体なんでしょう?
スターバックスの価格は、コーヒーの価格であって実はコーヒーの価格ではありません。なぜなら、コーヒーを飲ませるというサービスならコーヒーショップの価格とさほど変わらない価格で提供されるはずだからです。
お客さんはコーヒーを飲むという目的のために何倍ものお金は支払いません。何倍ものお金を払って飲むコーヒーと、コーヒーショップで飲むコーヒーの味にそんなに差があるというわけでもありません。
コーヒーの味やコーヒーを飲むための雰囲気という点でなら、喫茶店の方が上かもしれない。つまり、コーヒーでなくとも良い。スターバックス体験を売っているのだ、というわけです。
ここから学べることは
- 商品を売りながら商品ではない付加価値を売る
- 五感に訴える心地よい体験を売る
- 空間(環境)を売る
コモディティ(代替可能)<商品<サービス<経験(エクスペリエンス)ということです。
なぜ今、経験経済が重要とされるのか?
経験経済という言葉は昔からあったものです。けれど、今の時代はより一層重要とされています。なぜなら、欲しいモノはもう持っているから。新聞の消費者調査では消費者の85%以上が「欲しいモノはない」と回答しているのです。
あなたは今、欲しいものがあるでしょうか?
何にだったら、大金を払ってもいいでしょうか?
消費者の86.5%は「店頭で購買意思を決める」と回答しています。消費者の心理は「消費者は自分の欲しいものに気付いていない。お店で欲しい物に出会う。売り場で欲しい商品に気づく」ということです。
だから存在に気づいてもらうために、まずはネット発信(あなたのネット上のお店)をするわけです。
読んでくださり、ありがとうございます。次回も、経験経済について書きます。見てくれたら、喜びます(^^)。
PS.
「今の時代はキャラクターが全て!」という長倉顕太さんと安達元一さん。商品ではなくキャラクターを立てるのが一番売れるよ、満足度も高いよ、というわけです。その人のキャラクターが好きなら買うっていうのは、とてもよくわかる・・↓
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